人物画をより正確にすばやく描く際には、ジョージ・ブリッジマン、アンドリュー・ルーミス、フランク・ライリー、ジョン・アサロの4人の偉大なアーティストのメソッドを知っておくことが重要です。この記事では、それぞれのメソッドの特徴や使い方について解説します。絵を描く人にとって、これらのメソッドをマスターすることは、驚くべき人物画を描くための鍵となるでしょう。
ジョージ・ブリッジマンのメソッド
アメリカ式解剖学的デッサンの祖
カナダ出身の画家ジョージ・ブリッジマンはフランスに留学し、彫刻家に師事したのちに、解剖学的デッサンと具象デッサンの教師として、1800年代後半からニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグで45年間、強靭を取りました。
ブリッジマンの教え子として、のちに紹介するイラストレーターのアンドリュー・ルーミス、フランク・ライリー、画家ノーマン・ロックウェル、漫画家のウィル・アイズナー、『巨匠たちのドローイング・レッスン』の著者ロバーツ・バーブリー・ヘイルなど、
たくさんの有名人を輩出しており、総勢70,000人に教えてきたと伝えられています(。o 。)!!!スゴイ
ブリッジマンのメソッドとは
ブリッジマンは人物の頭を大きな立方体として捉えることで、どんな角度でも傾けることができ、遠近法で配置することもできると考えました。
その立方体は、箱状のひたい・平らな頬ぼね・鼻と口の付け根がある円筒形・下あごの三角形の4つの大きな塊でできています。
この考え方のおかげで、複雑性を抑えて極端な角度で頭部を描くことができます。
球体よりもバランスがとりやすく、階調の位置も分かりやすくなります。
ただ、直線的な要素が多いため、建築的で人物の雰囲気を掴むのが難しいところがあり、素早いスケッチやデッサンにはあまり向いていないようです。
みんな大好き、ルーミス・メソッド
デッサン初心者にもわかりやすい技法
アンドリュー・ルーミスはアメリカのイラストレーター、作家、美術指導者です。
多くの技術書を出版しており、独自の技法を披露しています。
その中でもっとも知られているのが頭部構成法、ルーミス・メソッドです。
アンドリュー・ルーミスによって書かれた全著書は、あらゆる局面においてアートの分野における初心者に役立つ。 彼は解剖学、動き、バランス、表現、テクニックの問題を提示し、そしてもちろん、すべての芸術家の仕事における創造性の重要性も非常に強調している。
wikipedia アンドリュー・ルーミス
たった2つの基本要素
両側面を切り取った球体に、顎を付け加えた図形。
これだけで人の顔が描けます!
なんてシンプルなんでしょうか。
彼は頭蓋骨を側頭部と前頭部に分け、解剖学的に単純化して、ガイドとして利用しました。
そのガイドに沿って、目・鼻・口の位置をより明確にできるというものです。
実際、試してみるとラフスケッチの時などは、とても役立つガイドとなるのが分かります。
時間はかかりません。
だけど紙の上でモデルをいとも簡単にコントロールできるかのようなスムーズさが感じられます。
アニメや漫画の速描きに用いられる理由がよく分かります。
ただ、盲点として、球体を遠近に捉えることができるかという難しさがあります。
立方体に比べると、角がないため遠近に捉えるポイントがありません。
完璧な球体を描くことすら難しいですよね。
製図定規やコンパスを使用して良い状況なら、初めのうちは活用した方がよいでしょう。
ルーミス自身も書籍でそう言ってます ^^;
さすが教師、初心者のつまづきポイントも熟知しておられる。
簡単そうに見えて、実はたくさんの練習が必要なのですが、
その効果は抜群ですよ。
練習用のアプリがありますのでご紹介します。
暇つぶしやスキマ時間に、地道に経験を増やすのがもっともストレスフリーです。
Head Model Studio – アートスタディ
Wes Castainposted withアプリーチ
こちらのアプリは無料で、描きたい頭部のアングル、光の当たり具合、影の付け方など、想定で描く時に大変役立ちます。
また、練習モードもあり、頭・目・鼻・口に分けて基礎構造を学ぶことができます。
しかも!ルーミス系や、のちに紹介するアサロ系の表示してくれます!
目鼻口ばかりに気を取られていたわたしには、非常にありがたい、便利で優秀なアプリです。
上級者向け、ライリー・メソッド
ライリー著の本は存在しない
フランク・ライリーは、先にあげたルーミスと同じくアメリカの画家であり、イラストレーター、教師です。ニューヨーク・アート・スチューデンツ・リーグで28年間指導したこと、そして自身の名を冠した学校を設立したことで知られています。
しかし、ルーミスやブリッジマンと違うのは、彼自身が方法論を本に残さなかったことです。
なぜでしょうね…。
ブッダやキリストのように、
私たちが見つけられるのは、第三者を通して濾過され、ライリーの授業について著者の解釈や回想が含まれるものです。
ライリー・メソッドとは
彼の授業を受け、メソッドを書籍に残したアンジェロ・ヨン・グラド著「Mastering the Craft of Painting (絵画の技を極める)」が参考になります。
一見すると、何の意味もなさないような、高速道路のような線は、
顔面を構成する筋肉と表面的な骨塊に基づいており、
ジェスチャーのガイドにもなっているということです。
カリカチュアという、デフォルメ風刺画にも使われているメソッドで、
個人の特徴を活かすことができ、またそのヴォリュームコントロールを可能にしたのです。
ただ、初心者からすると「うわっ」とひくほどの複雑な線を覚えられるかという、
敷居が高い印象です。
これらのガイド線を理解するために、骨と筋肉を徹底的に研究する必要があります。
ライリー流を継いだ、アサロ・ヘッド
カラーシャドウの魔術師
ジョン・アサロは、アメリカの画家でありイラストレーターです。
彼の幻想的なアートワークを見ればわかるように、色彩を自在に操っています。
とくに陰影のカラー表現は圧倒的ですね。
光と影を完璧にマスターしています。
wikipediaや書籍が見つけられないため、以下、検索結果から引用します。
彼は、1951年から1958年までカリフォルニア州パサデナのアート・センター・カレッジ・オブ デザインで美術を学びました。その後、1959 年にニューヨーク・アーツ・スチューデント・リーグに就学。そこで、水彩画の講師であるミルフォード・エリソンの影響を受け、レンブラント、ルーベンス、マネー、サージェント、ソローラ、マティス、ボナールの作品にインスピレーションを受けました。
アサロは、彼の芸術的要点をできるだけ多くの人に届けるために、自分のスタイル、内容、主題をできるだけ個人的かつ率直なものにするよう努めています。彼は、主題の永続的な側面ではなく、瞬間的なつかの間の印象を捉えようとします。彼は屋外で素早くスケッチして瞬間を捉え、スタジオに戻って作品を仕上げます。彼は、パレット・ナイフとブラシのテクニックを組み合わせて、自然界に見られる、人間の状態の重要な要素である生命のはかなく儚いエッセンスを作り出す実験を行ってきました。
https://www.qart.com/john-asaro-biographies/7363
アサロ・ヘッド
オリジナルの頭面とその後の頭と胴体は、ジョン アサロによって設計および開発されました。アート センター カレッジ オブ デザインで具象絵画を教え、そこで「頭の平面」のコンセプトを開発しました。
彼はもう教えることはせず、フルタイムで絵を描くことに集中することを選びました。
彼はサンフランシスコのアカデミー・オブ・アート・カレッジから名誉博士号を取得しています。
Planes of the Head のマネキンは 1976 年から販売されています。
「頭部に関するこの知識はほんの始まりにすぎません。人は自分の道を見つけなければなりません。」– ジョン・アサロ
https://www.planesofthehead.com/dev/john-asaro/
アサロヘッドは人間の頭を簡略化したものです。これは、頭部の単純化された平面を示すことを目的とした 3D モデルです。
頭部を観察してみると、基本的には普通の人間の頭ですが、形状は平らで、曲線がほとんどないことがわかります。
アサロヘッドはよく見ると、実際には非対称であることがわかります。
頭の左側は右側のより単純な変形です。
ここでは眼球と頬の平らな形状のみが表示されますが、右側にはまぶたや頬の領域の詳細が表示されます。
Asaro ヘッドは非対称になっており、2 つの異なるシナリオを練習できます。若くて丸い顔 (左側) または年をとって薄い顔 (右側)。基本的な形状を練習し (左側)、後で詳細を追加する (右側) こともできます。
https://bueskenart.com/asaro-head/
レビュー
これまでご紹介してきた4人のアーティストたちは、たぶん、教えることを生業にしなかったら、こんなにも素晴らしい偉業をなさなかったのではないでしょうか。
わたしのような凡人たちが、生きているうちに、早く上達するためにはどうしたらいいか、人生の大半を賭けて考案してくれたわけです。
「どうしたら、あなたのように描けますか」
「わたしにも描けますか」
何度も、何人にも言われてきたと思います。
彼ら自身には必要ないメソッドで、自動的にもう見えているガイド線たちを表出するとこうなるよ、というメッセージとして認識してます。
メソッドといっても正解ではく、必ず取り入れなければ上達しないわけでもないです。
アサロの言うように、真似して学んで、自分でつかみ取っていくしかないのですね。
メソッドに囚われすぎないように気をつけて、
絵を描く楽しさを忘れずに、今日も学んでいきましょう!
コメント